女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 仕事を調整し、直樹に断りを入れてから、3時前に遥の職場に顔を出す。
 朝、別れたビルの前に立っていると、仕事を終え、出てくる人が物珍しそうに観察して歩いてていく。

 俺は見せ物か。

 遥と同じ時間帯はパートの女性が多いのか、見ていく人は女性ばかりで、ますます居心地が悪い。

 多少は覚悟していたが、明日からはなにか考えようか。

 時計を確認し、ビルを見上げると、誰かが中なら手を振った。
 そして、すぐに窓が開いて、手を振っていた人物が声をかけてきた。

「そんなところに突っ立ってないで、中入っちゃいなさいよ。入ってすぐの階段。そのまま上に来て、最初の扉」

 どうやら、朝に挨拶をした女性らしい。
 会釈をして、言われた通り、階段を上がった。
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