女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 扉を開け、ギョッとする。
 そこは休憩室なのか、女性がたくさんくつろいでいた。

「あらやだ。ほんと、男前」

「迎えに来るだなんて、遥ちゃん、愛されてるわね〜」

 ここに来ても見せ物かと、若干うんざりするものの、敵意は感じない。
 その上、これほど女だらけでも、化粧臭くないのは救いだった。

 仕事柄、食品を扱うためなのか、仕事の格好のせいなのか、皆、化粧や香水をしていないようだった。

「ほら、遠慮してないで、座りなさいよ」

「はい。ありがとうございます」

 会釈をし、近くの椅子を引く。

「いいわね〜。なんだか紳士って感じ」

「でしょう。遥ちゃんは一緒にいる時、照れちゃって可愛かったわあ」

「あの子、照れ屋だものねえ。見てみたい」

 職場での遥が可愛がられている様子が窺えて、自分の事のように嬉しくなる。
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