女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「怒って、ますか?」

 窺うような遥の声を聞き、我に返る。
 久しぶりに見る、人の顔色を気にする遥の表情。

 そんな顔、させたいわけじゃない。

「いや。大丈夫だったから、仕事も始められて、今回も平気だったんだろ」

「それは、そうなんですけど」

「なんだ。どうした」

「練習の時は、もしものために、アキにすぐ来てもらえる場所で練習していました。なにかあったら、アキがいるって思うだけで」

 思わぬ報告に、胸が熱くなる。

「それで、今も、アキは仕事に行かなきゃいけないのに。甘えてしまって」

 今一度、抱き寄せると、遥の上擦った声がした。

「アキ? あの」

「このくらいの甘え。可愛いもんだ」

 優しい声色に、遥は晶の胸に顔をうずめた。
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