不思議な力を持つ女の子と暴走族の話。下
「"痛いと感じる"="痛みから逃れたい"だから無意識にリンの力を受け入れたんだ。
それに12年前、リンと関わった全ての人間の記憶は僕が消したんだ。アカリさんは子供ながらにリンのこと"忘れたくない。また会いたい"って思ってたんじゃない?」
「……だから無効化の力を持ってたアカリだけは記憶が消えなかった」
「そういうこと」
アヤトくんはボソッと呟いた俺を一瞥してお茶を啜る。
なんだかわからないこの恐怖心は、自分が常に超能力者でどこか感じてきた優越感が崩れているからだ。
力が無ければ、研究所での自分と一緒…
俺たちはただの人間…。
それも無知な人間だ。
それはあの神木となんら変わらない。
敵わない。
目の前に君臨する漆黒にそう思わざる得ない。