Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「ここで退けばこのデータ消してやるけど。どうする? 大人しく消えた方がいいと思うよ?」
「っ、行くぞっ!」
ようやく集団は去っていく。手塚も逃げるように校舎へと入っていった。
ヘタレばっかで助かった……。
今どきヤンキーなんて時代遅れだし人もまともに殴ったことなんてないような奴等だったんだろう。勿論脅されたことも無かったんだろうな。
その場には、私と夏川だけが残っていた。
「……っく、ひっく……」
泣き声が聞こえて、目を向けると夏川が涙を流している。
あー泣くなって面倒くさいなあ。
「……なんで……ひろと……」
知らないよ。
「ん」
「え?」
ポケットからティッシュを取り出し夏川に渡す。
「後10分で掃除の時間終わるから、それまでに思いっきり泣きなよ」
「え……」
「こんなとこ、誰も来ないから」
それだけ夏川に言って、倉庫の壁に背をつけて彼から目線を外すと、彼は膝に顔を埋めて静かに泣き始めた。
その泣き声は、次第に嗚咽になっていく。
「うぅ、なんで……ひっく……っく……うぁぁ……」
その様子が苦しそうで、痛々しくて、私は直視出来なかった。
そうやって5分経つと、ようやく落ち着いてきたようで泣き声も静かになってくる。
「……悪いな。こんな気持ち悪いとこ見せちまって」
「別に。気持ち悪いとは思わないけど」
「え……」
「それだけ本気で好きだったんでしょ。綺麗だと思うよ」
「き……?」
愛だの恋だの……。
「理解は出来ないけど」
「ははっ、お前って意外と良い奴なんだな」
「何それ」
少しだけ、夏川が羨ましかった。1人を想って、こんなに綺麗な涙を流せる夏川が綺麗だと思った。