愛する人を見つけた
17

なるべく ムードのない 駅中のカフェを選んで 私は 浩太と向かい合う。
 

「ユズ 考え直してくれた?」

浩太の 場違いな言葉に 私は呆れてしまう。
 
「浩太 どうして別れたくないの。」

私は浩太に聞く。
 

「俺 ユズのこと好きだし。ずっと 彼女だと思っているから。」

浩太は 機嫌を取るような顔で 私を見る。

今まで 一度だって そんな顔を したことはないのに。
 

「好きな人の誕生日も 忘れるの?」

私が言うと、
 
「それは ユズが 何も言わないから。」

と浩太は言い返す。
 

「私の名前、柚子って。冬至に 生まれたからだって 言ったよね。冬至は 毎年変わるけど。忘れていても その時期になると 思い出さない?」

私が言うと
 

「そんな事 聞いたかな。」

と浩太は 曖昧な笑顔で 誤魔化した。

私はイライラして
 

「浩太は いつだって 自分のことしか 興味ないでしょう。私が 何か言っても ゲームばかりしていて。聞いてないものね。」

と強い口調で言う。
 

「それは 悪かったと思っているよ。これからは ユズの話し ちゃんと聞くから。」

俯いて 神妙な顔をする浩太。

上司に叱られる 新入社員のようだと 私は思った。
 



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