愛する人を見つけた

「もういいよ。私 浩太の親でも兄弟でもないから。私は私で 自分の人生 真剣に考えたいから。これ以上 浩太と一緒にいて 時間を無駄にしたくないの。」

私は 淡々と でもはっきりと言う。
 

「新しい彼氏って どんな奴だよ。」

急に浩太は 強い口調で聞く。
 

「私 親に進められて お見合いしたの。」

私は 浩太の顔を じっと見つめる。
 


麻衣と相談して 考えた嘘。

浩太は 私に 好きな人ができたと聞いたから 意地になったのだと 麻衣は推測した。

自分のおもちゃを 他人に取られたくない子供。
 


「ユズ その人と結婚するの。」

浩太は 驚いた顔をする。
 
「その人 うちの実家に入って 父の葡萄畑を 継いでくれるの。」

私が静かに言うと、
 
「山梨に帰るのか?」

と浩太は 更に驚いた顔をする。

「私 長女だから。実家を 継がないといけないの。浩太、今の仕事辞めて うちの実家を継いでくれる?父と一緒に 葡萄農家やってくれる?」

私の言葉に 浩太は 戸惑った表情をした。
 



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