もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「体調がよかったらだけど、その日に手伝ってもらえると嬉しいんだけど、どうかしら」
いつもお世話になっている職員さんから声がかかった。
私はかなりこの図書館にはお世話になっている。

「はい。」
「大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
仕事中に体調を崩したり、いままで突然体調を崩して休んだことも数えきれない。
それでも猫の手でもかりたいからと私を置いてくれているこの場所に、人に、役にたてるのならやらせてほしいと、私はすぐに首を縦に振った。


「助かるわ!その日はかなり有名なピアニストの人がくるらしくてね。廃校になった小学校からピアノを明日この図書館に搬入する予定なんだけど、そのピアノを弾くらしいの。その人作曲もやるらしくて、最近のヒット曲はほとんどその人の作曲だっていうのよ。私も娘から聞いたんだけどね」
私に話しかけているのは、この図書館で主任をしている女性で、私と同じくらいの年齢の娘がいるらしい。娘さんが着なくなった服をくれたり、私が体調を崩した後に出勤する日は手作りのお菓子や家で育てている新鮮な野菜をくれたりする。
面倒見がいい人だった。
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