月刊ヤングMAGAZIN

「おいしかった!
…ねぇ、嵩琉…
そっちのケーキは食べないの?」


椛がコンビニの袋を指さして言った



「え、食べる?
だって、今食べたし、別に…」



「食べるよ
だって嵩琉が
私のために買ってくれたんでしょ」



「うん
毎年のヤツだけどね…」



毎年コンビニのケーキ

お小遣いで買って椛と食べてた




「ねぇ…」



「あー、はい、はい…
アレね…」



椛はいつもそこにローソクをさして

火をつけて消す



毎年の恒例行事




「なに色?」



「んー、今年はピンク!」


5色の中から毎年好きな色を選ぶ



「じゃあ、電気消すね」



♫〜
ハピバースデートゥーユー
ハピバースデートゥーユー…





フーーーーー!




椛が火を消した





「椛、18歳、おめでと」



「ありがと…
嵩琉…」



「ん?」



「…キスしたいよ…」



暗くなった部屋に

椛の声が響いた




カーテンから漏れる外の光で

椛の表情がなんとなくわかる



「うん…
椛、こっち、来て…」



オレは、椛を抱き寄せた



椛…





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