死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
二人で椅子に座って、パクパクとアイスを食べる。
美味すぎて、ついついアイスを次々と口に運んでしまう。早く食べすぎて、頭がキーンってした。慌ててアイスを食べるのをやめて、頭に手をやる。
「マジ子供」
片手で頭を抱えている俺を見ながら、怜央は楽しそうに笑う。
「うるさい」
「あはは。よかった、あづが元気になったみたいで」
そう言って、怜央は安心したみたいに笑った。
「え」
目を見開いて怜央を見る。
「あづには落ち込んだ顔なんて似合わねえよ。そうやってガキみたいにはしゃいで笑っている方がよっぽどあづらしい」
瞳が潤んで、涙が出そうになる。
「……れ、怜央、俺、怜央のこと、信頼してもいいかなあ」
「いや今まで信頼してなかったのかよ!!」
俺の言葉を聞いて、怜央は盛大に突っ込む。
「だ、だって怜央チャラいし。めっちゃセフレいるじゃん」
「だからって信頼しないのかよ!!」
「ごめん。でも俺、そういうことする人はあんま信頼できなくて」
俺は、素行の悪いことをする人を信頼できない。俺の母さんは不倫という素行の悪いことがきっかけで、俺に虐待をするようになったから。そのことがあるから、俺は不倫とは違うけど、セフレを何人も作っている怜央はろくなことをしないんじゃないかとつい思ってしまう。
不倫とセフレを何人も作ることは違うけど、両方とも素行が悪いことには変わりないし。
「まあそうやって本人に面と向かって言えるのが、あづのいいとこだよな」
「え」
「いいよ、俺のこと信頼できないなら、信頼しなくて。でもま、俺はあづに信頼して欲しいけど。あづをすごく大切に思ってるから」
俺の青髪を撫でて、怜央は目尻を下げて笑う。
「俺は、怜央を大切に思えるようになりたい。怜央を信頼できるようになりたい。怜央が昨日も今日も俺に優しくしてくれて、すごく嬉しかったから。でも俺は怜央みたいに素行が悪いことをする人に、ろくな記憶がないから」
俺の身の回りで素行が悪いことをしてる人なんて怜央以外には母さんくらいしかいないけど。
「それで俺に信頼していいって聞いたのか」
「うん」
「あづ、そりゃあ意地の悪い質問だ。信頼していいのなんて、俺はお前を裏切らないって聞いているようなもんだからな」
「うん、わかってる。ごめん。でも俺は、怜央からその返事を聞かないと、怜央を信頼できない」
「俺はあづを裏切らねぇよ、絶対」
「誓う?」
「ああ、誓うよ。神様に、あづに。俺は死ぬまで、いや、死んでもあづの味方だよ」
アイスをテーブルに置いて泣き崩れる。涙が止まらないのが恥ずかしくて、顔を両手で覆う。怜央は俺の頭から手を離すと、もう片方の手で持っていたアイスをテーブルの上に置いた。そして、両手で俺の手を取って、口の両端をあげて、目を細くして笑う。
その笑顔は、今まで見た怜央の笑顔の中で、一番良い顔だった。
「怜央……助けて」
その笑顔に、怜央にすがりつきたくなった。
ああ、最悪だ。こんなこと言ったら、母さんに叱られる。殴られる。俺の人生が、壊れる。それがわかっていたハズなのに。