死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「ねね、君一人?」
俺たちの隣でアイスを食べているツインテールの女の子に、怜央が声を掛ける。
「今はそうだけど、友達待ってるんだ。電車が遅延しちゃったみたいで」
「ふーん、そしたら、友達が来たら、俺たちと一緒に遊ばない?」
「え、ナンパ? やだ」
そう言いつつも、女の子はとても嬉しそうだ。
ナンパなんてされると思ってなかったから、少しだけはしゃいでいるのかもしれない。
「怜央、俺は初対面の女子二人と、怜央の三人と遊ぶくらいなら、怜央とだけ遊びたい」
「あはは! 素直すぎ! わかってるよそんなの。冗談。ちょっとふざけただけ」
うるさいくらいに声をあげて怜央は笑う。
「冗談かよ!」
「アハハ。ごめんね、また今度ね」
怜央は笑いながら、女の子に手を合わせる。
「今度なんてないから。友達駅着いたみたいだから、じゃあね」
そういうと、女の子はアイスを食べながら、上機嫌で店を出て行った。
「お待たせしました。抹茶のロールアイスです」
そう言って、店員が怜央にロールアイスを差し出してくる。
「あざっす!」
そう言って、怜央はロールアイスを店員から受け取った。
ガーン。
怜央がナンパなんてするから、抹茶のアイス作っているところ、少ししか見られなかった。まだ俺のいちごがあるけど、どうせなら、二つとも作っているところ見たかった。
「何落ち込んでんだよ、あづ」
「だって怜央の作っているところ、見られなかった」
「はあ? それだけで拗ねてんの? ガキだな」
馬鹿にするみたいに怜央はいう。いやみたいじゃなくて、馬鹿にしてるのか。
「うっさい!」
「そんなに怒るなよ、一口やるから」
その言葉に惹かれて、抹茶のロールアイスに目を向ける。
抹茶のアイスは生クリームの他にオレオとマシュマロがトッピングされていて、オレオにもマシュマロにもクリームにも抹茶の粉がかかっていた。
チョコバナナと違ってアイスも抹茶だから、本当に抹茶づくしだ。
「あーん」
トッピングの生クリームとアイスを一緒にスプーンですくって、怜央は俺に差し出す。
「え、うまっ!」
口を開けて食べると、生クリームと抹茶アイスの味が一気に口に広がった。生クリームとアイスが口の中で混ざって、絶妙に甘い。
「だろ?」
「うん!」
アイスをよく噛んで味わいながら、厨房を観察する。そのまま五分ほど眺めていると、やっと俺のアイスが完成した。
「お待たせしました。いちごとベリーのロールアイスです」
「やった!!」
店員が差し出してきたアイスを勢いよく受け取る。
アイスは苺味で、アイスの上に、生クリームとビスケットといちごとミックスベリーがトッピングされている。
「どんだけはしゃぐんだよ、ガキ」
「だってこんなの食べたことないし!」
アイスをパクパクと口に運ぶ。
食べるたびにいちごの味が口いっぱいに広がる。うますぎて、ほっぺたが落ちそうだ。
「あづ、そこの椅子座るぞー」
店の入り口のそばにあるテーブルと椅子を見ながら怜央は食べる。
「えー、ここで食べる」
移動してる間に、アイスが溶けたら嫌だし。
「床にこぼしても知らないぞ」
呆れながら怜央はいう。
俺は渋々、テーブルの前に移動した。