恋って西洋風グミの味?
すっごい優しいおじさまにおばさま。しかも社交的。こんな両親から「何考えてるかわかんない」系の大槻が出来上がるなんて想像もつかない。

「大槻ーなんであんなに教室で本ばっかり読むの?」

「教室は退屈だから」

ちょっと先に行ってる大槻はぶっきらぼうに答えた。

確かに退屈。普通の友達と普通の会話して、特別何もなくて。そう、タク先輩があたしの高校生活を変えてくれた。それなのに…。やっとつかんだ彼氏だったのに…。

「おい、神菜」

考え事をしていたら、それを見透かしたように大槻があたしをよんだ。

「俺が言ってる退屈って、お前の思ってる退屈と違うぞ?」

「どういうこと?」

「どいつもこいつも一緒なんだよ。個性も取柄もねー。つるんでいりゃ安心だと思い込んでるやつばっかりだ。」

あ、まさにあたしのこと…。

「だからと言って、別にそいつらのこと嫌いじゃねーし、何ともおもわねーけどな。逆にいえば、何ともおもわねーから、話すこともねー。俺が教室で本を読んでる理由はそれだけだ。」

「友達とか欲しくないの?」

「バイト先行きゃいろんな奴いておもしれーし、学校で作る必要性を感じない」

「じゃあ彼女は?」

と、問いかけると同時に、さっきの大槻のセリフを思い出した。

《彼氏になるかも知れねーだろ?》

あたし馬鹿だ、自分から思い出しちゃった…。

「別に欲しくねーよ」

…あれ?あたし期待し過ぎ…?
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