俺様社長は溺愛本能を隠さない




───仕事を終えてマンションに帰宅すると、そのタイミングで母親からメッセージが入ってきた。

どうせいつもと同じ、結婚の話だろう。
分かりつつも確認すると、やはり予想どおりだった。

【どう? 考えてみた? 婚活市場じゃキャリアウーマンは人気なんだって。早い方が有利みたいよ】

はいはい。

母には結婚相談所を経営している知り合いがいるのだが、私の話をするといつも盛り上がるらしく、最近はそれに夢中だ。

二十代で秘書として務めているお嬢さんなんて引く手あまただから、今婚活をすれば条件の良い相手と結婚ができる。
そう吹き込まれているらしく、婚活をゴリ押ししてくる。

【会社経営者とか、お医者さんとかと結婚できるんだって】

続けてそう送られてくる。

会社経営者なんてごめんだよ。
感覚がズレまくってることを毎日ひしひしと感じてるんだから。

憧れの都筑さんに社員第一号にしてもらったシンデレラストーリーの最初のうちは、私も彼との恋を夢見ていた。
それは認める。
毎日ドキドキしてたまらなかった。

しかし期待しては落とされを繰り返し、誕生日もバレンタインもすべて無視をされ続けると、彼に女として見られていないことが嫌でも分かってきた。

三年経った今、やっと冷静に、都筑さんへの想いを消し去ることができたというわけ。

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