俺様社長は溺愛本能を隠さない
──母の知り合い、結婚相談所の社長さんは花輪さんという女性で、実際に会ってみると、化粧も服装も若々しくとても五十歳には見えなかった。
何よりずっとテンションが高いことと、会話を途切れさせない圧がすごい。
エステサロンのような事務所の個室に通され、さっそく母から聞いている情報を交えながらの面談が始まった。
「有村さんのお嬢さんだから綺麗な子だろうとは思ってたけど、やっぱり美人ね! お洋服もセンス良いし、スタイルもいい」
「いえ……。 デザイナーさんに囲まれて仕事をしているので、一応、身なりには気を遣っています」
「社長秘書なのよね。それも良い! 普通にしていればすぐに恋人できそうだけど、お仕事が忙しいの?」
「まあ……そうですね。職場が少人数ですし、あまり出会いはありません」
ついでにその社長のせいで女としての自信も失ったので、職場恋愛の予定はありません。とまでは言わないでおいた。
花輪さんは頷きながら、手元のテンプレート用紙にメモをとっていく。