俺様社長は溺愛本能を隠さない
テーブルの付近にソファがひとつ置いてあるが、私たちはどちらもそれへは座らず、テーブルの角を挟んでカーペットに腰を下ろした。
「話って何ですか」
お茶は出さずにいる私の態度は、長居されては困るという意思表示である。
「さっきは泣かせて悪かった」
「あ……いえ、それは全然、気にしなくて大丈夫なので……」
「俺のことが好きだから泣いたのか。 若林がそう言ってた」
若林め……。
違わないけど、ここで認めたらまた私が劣勢になって振り回されることが目に見えている。
「……違い、ます……」
絞り出してみたものの、都筑さんの視線の圧に押されて語気が弱まる。
「そうか」
そんな残念そうな顔しないでよ……!
「あの……都筑さん、勘違いしてますよ。三年間もあったんですよ? 私のことが好きなら今までどうにでもできたはずです。オフィスでも言っていましたが、私が秘書を辞めると思ったからつい口走っただけですよね。大丈夫ですよ、辞めるつもりはないですから」
「違う!」
「ひゃっ」
体ひとつ分の距離を詰められ、両手を束ねて握ってきた。