俺様社長は溺愛本能を隠さない


──というわけで、攻防戦の第二ステージは私の自宅となった。

大人しく待っていた私に手を振って歩み寄ってきた都筑さんは、当然のように後ろにくっついてエントランスへと入ってくる。

もう、ここで反抗しても無駄だ。
どうせ押し切る気だろうし、さっさと話をつけて帰ってもらったほうが早い。

そう思った私は案内するかのごとく部屋へ行き、鍵を開けた。

「どうぞ」

昔はワンルームに住んでいたが、秘書に転職してからはランクアップした1LDKに住んでいる。
広めの玄関から歩いて右手にキッチン、左手に寝室を素通りすると、十畳のリビング。

いつも仕事では、洋服やアクセサリー、ハンドバッグの中身まで全てシンプルでスクウェアなデザインのもので統一しているが、この部屋はそうではない。

柔らかで背の低い家具が多く、ちまちまと散財していることがうかがえるアロマキャンドルや雑誌が野ざらしだ。

秘書になってからは特にツンケンしている私の部屋としては意外なのか、都筑さんは物珍しそうに見回している。

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