イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
あ、もしかして、一緒に会議室を出る所、見つからない方がいいってこと?
でも確か人けなかったし、それほど心配しなくても……
心の声が聞こえたのか、ドアの前で彼が振り返り、意味ありげにその唇へ微笑を浮かべた。
「顔は真っ赤だし、目はウルウル。可愛いけどな、このまま帰ったら間違いなく、イカガワシイことしてきました、って認定されるぞ」
「い、いか、イカガワシイって! やだっそんなことしてないもんっ!」
悲鳴みたいな抗議を躱すように、さっと彼はドアを開ける。
「トライアル中でも、お前がしたいならいつでもOKだからな? なんなら、社内でもいいぞ?」
「しゃ、しゃ、しゃっ!?」
ドアの向こうにその姿が消えた後、廊下からまたぶはって吹き出す声が聞こえた。
あぁもう……なんなの?
もはや、おもちゃにされてる気分。
こんなにイジワルな人だったっけ? なんかキャラ変わってない?
ぐったり崩れ落ちるように椅子に座って。
バクバク、未だに早鐘を打つ心臓をギュッと服の上から押さえた。
なんだか振り回されっぱなしで……
こんな調子でわたし、2カ月も持つのかな?
なんだか不安しかないよ……。