イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「あ、ここ座って!」
リビングに通し、バタバタとソファの上の雑誌をどけた。
「ええと、コーヒー飲む? インスタントなら、すぐに用意できるけどっ」
緊張のあまり上ずっちゃう声が情けない。
でも仕方ないでしょ、この部屋に男性を入れたのは初めてなんだから。
「いいよ。オレのことは気にしないで、支度すればいいから」
「う、うん。ごめんね! すぐやる。今すぐ!」
手を合わせて謝って、寝室に飛び込んだ。
すでにすっぴん見られてるしメイクは軽めにしよう、と考えながら鏡の前に座ったところで、「全然狭くないじゃん」と彼の声が聞こえてきた。
「そそ、うかな、でも、物があふれてるでしょ」
「こんなもんだろ、普通。オレんとこも似たようなもんだし」
「え――そうなのっ!?」
思わず、落とした腰をまた浮かせて叫んじゃった。
しかも声、思いっきり裏返ってるし!
口に手を当てたけど、もう遅かった。
「ぶはっ」って弾ける、笑い声。
「なんだよ、美弥子もオレがタワマンに住んでると思ってたクチ?」
「やや……やっぱり知ってたんだ、そういう噂があるの」
「そりゃ気づくだろ。思わせぶりに、『坂田さんの家って、あんな感じですか?』って駅前の高層ビル指されたり、『坂田さんちの100万ドルの夜景、見てみたいなぁ』とかせがまれたら」
うわぁ、そんなこと言われてたんだ。
モテる男って辛いな。
「じゃあ坂田くんの部屋って――」
「築20年越えの1K」