イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
ハスキーな声に問われた刹那、ゾクリ、と背筋がざわついた。
たった一言でその場を支配してしまう、そんなインパクトのある冷たさ。
季節を数か月早送りしたみたいに、寒気がした。
「い、いえ、ごめんなさい……」
言い訳みたいにつぶやいて、追い立てられるように階段を駆け上がる。
なんとなく追いかけて来るんじゃ、って怖くなったけど……
地上にたどり着き、荒い息のまま振り返ると。
そこには誰もいなかった。
店へ入ったらしい。
「どうしたのー? 早く行こ。あと5分で出る電車あるみたい」
飛鳥の明るい声に呼ばれて、金縛りが解けたみたいに全身からドッと力が抜けた。
「うん、今行く」
答えて、歩き出して――すぐに歩調がのろくなる。
今の人……どこかで見たことがある、ような……
そんな風に感じたから。