イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

ビルの半地下にある“Blue Moon”から地上へ続く、狭い階段。
お店を出たわたしは、坂田くんのことを考えつつ、そこをぼんやりのぼりかけた。
そこへ。

上から足音――男性が降りてきた。

ぶつかりそうだな、と壁に張り付いて、やり過ごそうとして。
あれ、と糸に引かれるように視線が上がった。
懐かしい香りがしたような気がしたから。

タバコだ。
このスパイシーな感じはたぶん、坂田くんが吸ってたやつと同じ……

奇遇だな、と何気なくすれ違うその人を目で追ってしまった。

金色に近い茶髪を肩までサラッと伸ばした、綺麗な人だった。
透けるように白い肌、女性に騒がれそうな洗練された目鼻立ち――モデルだって言われたら、すんなり信じてしまいそう。

でも。
ノータイで襟を崩したカッターシャツ、上下とも黒づくめのスーツ……
まとわりつくどこか退廃的で甘い雰囲気は……そうだ、ホストみたい。

閃いた瞬間、見えてしまった。

はだけたシャツの胸元から覗く、毒々しい髑髏のタトゥー。
上品な顔立ちとのギャップが凄まじく、思わず二度見しちゃって――


「……なに見てんの?」

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