イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「んー美弥子って小っちゃいな、って言ったの」

「ちっ小!?……158センチはあるんですけどっ! 坂田くんが大きいだけ!」

むぅっと背伸びししてみせたら。
坂田くんは楽しそうな笑い声をあげ、子どもをあやすみたいに、わたしの背中をポンポンて叩いた。

「怒んなって。ちっちゃくて可愛い、って褒めてんの。めちゃくちゃ落ち着くんだよな、身長差からのこの密着度。家まで持って帰りたいくらい」

も、持って帰るって……

「わ……わたしは坂田くんのペットでもおもちゃでもないんですけど……」

一応文句を言ってはみるものの、そこに本気の拒絶はないって自覚はある。

確かに彼の言う通り、この態勢、癖になる心地よさなんだよね。
なんだか体全部で包み込まれてるっていうか、守られてるっていうか――


「当たり前だろ。ペットに欲情なんてしない」

あまりにサラリと言われてしまい、一瞬の空白。
それから、ドッと赤面した。
「……なっな、なんでそういう……」

「どうだ? そろそろオレに落ちた?」

揶揄うように頬を寄せてささやかれ、もう呼吸が止まりそうだ。

「まままさかっ! 全然! ちっとも! 落ちませんともっ!」

すぐ思いっきり、首を左右にする。
彼の不満そうな顔になんか、構ってられない。

だって強く言わなきゃ、流されちゃいそうで怖い。
それくらい……今の状況は、わたしにとってヤバかった。

< 162 / 539 >

この作品をシェア

pagetop