イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「わかってるよ、金だろ。金で解決するもんなら、いくらだって出してやるさ」
お金……?
一体なんの話だろう?
なんとなく穏やかじゃないような気がして、後ろ髪引かれる思いではあったけど、立ち聞きなんてよくないよね。
お金のやりとりくらい、友達同士ですることもあるだろうし。
自分を戒めるように勢いよく前を向く。
すると。
パタパタパタ……
軽い足音とともに、スカートらしき赤い布が廊下の先で翻るのが見えた。
すぐに視界から消えてしまったそれに、ギクリとする。
もしかして――坂田くんと会ってるところ、見られた?
ううん、大丈夫よ。ちゃんとドアは閉まってたし。
見られたはずはない。
大丈夫、だよね。
呪文みたいに繰り返して。
デスクでわたしを待ってる仕事へと、なんとか気持ちを切り替えた。