イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「わーおっきーねー!」
「これ、全部画面に入らないよー!」
「ちょっと、ちゃんと私も入れてよ?」

ぼんやりしたまま、YKDビルのエントランスへ足を踏み入れるなり、
ガヤガヤと騒々しい声が耳に飛び込んできた。

視線を巡らせれば。
大勢の人が昨日設置されたばかりのクリスマスツリーを幾重にも囲んでいて、記念撮影中。
口々にあがる歓声から、みんな気に入ってくれたみたいだなって頬が緩んだ。

昨日までは、わたしもあんな風に純粋に、クリスマス気分に浸っていられたんだけどなぁ。

「先輩、美弥子先輩っ」
「中村さん、こっちこっち」

ふいに名前を呼ばれて足を止めると。
人垣の中から、光莉ちゃんと梓沙さんがぴょこっと現れた。
彼女たちも写真、撮ってたみたいだ。

「郵便局、混んでませんでした?」

「へ? 郵便……あ、あぁ、うん! 大丈夫だったよ」

ランチを抜ける口実に郵便局を使ったことを思い出して、冷や汗かきかき、さっと笑顔を取り繕った。

「どうかな、今年のツリーは?」
「すっごいいいです! めっちゃ可愛い! さっそくインスタにアップしちゃいました♪」

「評判いいわよ。アットホームな感じがするってみんな褒めてたわ」
「ほんとですか? よかった、それを狙ってたので」

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