イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「ツリーがあるだけで、クリスマス気分一気に盛り上がりますよね。実際はまだ1か月以上先だけど」
ほんとにその通りだ、と頷きながら、2人にくっついてセキュリティゲートへ足を向けたところへ。
「なぁんかこのツリー、つまんなくなーい?」
刺々しい声が、ざわめきを突き破るように響き渡った。
「ねーぇ、何この人形、だっさ! しょぼすぎ!」
「全部安っぽいっていうかさぁ、あたしの友達丸の内で働いてるんだけど、超豪華なツリーだったわよ。恥ずかしくってこんなの見せられないじゃない」
ドキリとして声の方を見ると、そこにいたのは女子トイレ3人組――西谷さんとお友達2人だった。
「何あの言い方」
ムキィ! って飛び出していきそうな光莉ちゃんの腕を引く。
「止めとこ、ね」
「でも――」
言いかけた彼女を戒めるように首を振ったのは梓沙さんだ。
「全員の満足いくものなんて、土台無理よ。人の好みはそれぞれなんだから」
前任者だから、やっぱりよくわかってる。
もしかしたらクレームを受けた経験があるのかもしれない。
「ねぇツリーの担当ってどこだっけー?」
「総務課でしょ」
言いながらこっちを睨んだのは、西谷さんだ。
どこかでわたしが担当だって聞いたのかな。