イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「相手は誰?」
「そこまではわかんないけど、クライアントのお嬢様でしょ、どうせ」
「今までもあったもんね、営業先で気に入られちゃうの」
聞いちゃダメ。
間に受けちゃダメ。
唇を噛むわたしをあざ笑うみたいに、残酷な声が続く。
「でもまぁ、社長令嬢くらいじゃないと。なんていったって、うちのエースだもの」
「釣り合わないわよねえ。平凡な事務職なんかとじゃ」
釣り合わない、平凡な――
またそれか、って思ったけど。
わたしの気分を盛り下げるには十分だった。
「本気の恋愛はしないって噂があったじゃない、坂田さん。つまりあの人、ちゃんと結婚相手と遊びを分けてたのよ。さすがよねー」
「仕事もプライベートも、どこまで完璧なんですかーって感じー」
大丈夫。
今朝の電話だって、彼は何も言ってなかったし。
信じていればいい。
彼は、そんな人じゃないもの。
「なぁ、ちょっとそこ、どいてくんねぇ? 邪魔だから」