イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

鬱陶しそうな声はわたしではなく、彼女たちへ向けられたものだった。
「はぁ?」って邪険に振り返った2人だったけど、背後にのっそりと立つ姿を目にするなり、「キャー!!」って黄色い声を店内全体へ響かせた。

「……るせぇ」

耳に指を突っ込んで、浅黒い顔をしかめているのは……制作部の日向智章さん、だった。

チェスターコートの下に、無地のTシャツとスキニーパンツ。
ビジネス街のど真ん中でこんなカジュアルコーデができちゃうのも、そしてそれがなぜかおしゃれに見えてしまうのも、さすがカリスマデザイナーってところか。

背、坂田くんより高いかなぁ、ってついつい、目で追っていると。

日向さんは、飛びのくように取り巻き2人が空けた場所を闊歩し……お目当ての栄養ドリンクを手に取った。
そしてそれをしばらく、手の中で転がしてから。

「あのさぁ」
とぶっきらぼうな声で続けた。

「社外で個人名出して、ぺらぺらしゃべるのはどうかと思うぜ」

「は、はいっ!」
「以後気を付けます!」

途端にお行儀よく愛想笑いなんかしちゃう彼女たちだったけど、彼は全く相手にせずにレジへ、つまりわたしの方へと歩いてくる。

うわ、ほんとに日本人離れした、華やかな顔立ち。
クォーターっていう噂を聞いたことがあるけど、納得だな。
目なんか、茶色って言うより金色みたいで……

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