イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

行きたくないな……


終業後、銀座を目指して丸ノ内線に乗り込んだわたしは、無意識に本音をこぼしていた。

今年のイブは平日だし、自宅で過ごす人が多いのかなって漠然と考えていたんだけど、食事くらいは外で、って人も結構いるらしい。
車内を見渡せば、コートで隠れてはいるものの、いつもよりおしゃれしてるんだろうな、って雰囲気が伝わってくる人も多い。

こんなひどい顔してるの、わたしだけだな。

高揚する周囲から一人だけ切り離されたみたいな自分に、肩が落ちた。

とりあえずホテルでもう一度、メイク直そう。
クマだけでも隠さないと、年齢以上に老けて見えちゃう。

うんざりしながら考えて、コツン、と冷たいドアガラスに額を押し当てた。


坂田くんは、もう会社から出たかな。
こうしてどこかデートの場所に、向かってるんだろうか。

きっと電車だよね。お酒、飲むんだろうし。

選ばれるのは、どんな女性なんだろう。

彼女にも、言うんだろうか。
耳元に唇を寄せて。

――お前のこと、もっと知りたい。


「っ……あぁもうっ……」

コツンコツン軽く額を打ち付け、妄想を打ち消した。

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