イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
彼だ、間違いない。
ドキドキドキ……
猛スピードで打ち始める心臓をなだめつつ、カラカラに乾いた喉をこくりと鳴らす。
なんて声をかけよう?
きっとびっくりするよね、わたしを見たら。
迷いながら、出て行くタイミングを見つけられずにいるうちに、彼が車内を振り返った。
その時になってようやくわたしは、後部座席にまだ誰か、乗っていることに気づいた。
「おい、早く降りろ、酔っ払い!」
「えー……もう飲めなーい」
誰かが、へらりと笑い交じりに答えてて――全身が凍り付いた。
それは、女性の声だった。
「阿呆! 誰が飲ますか! ほら、早く降りろって!」
固まったまま、ぎこちなく目だけを動かすと、坂田くんが苦労して車内から誰かを引っ張りだそうとしてるのがわかった――やっぱり、女の人だ。