イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「悪いな、待たせた」
背後で日向さんがドアを閉め、そして壁のスイッチを何やら操作する。
一瞬にしてガラスが不透明になり、外の世界と遮断された。
おお、と感動の拍手をしかけて――フリーズ。
窓の外を見ていた彼が、振り返ったからだ。
烏の濡れ羽色、とも言うべき艶やかな黒髪を揺らし、わたしを見つめたその人は……。
「いや、僕も少し前に来たところだ。ちょうどよかった」
嘘でしょ――……人事のプリンス、宇佐美理久っ!?
「な、な、な……」
声にならない叫びをうわごとみたいに繰り返しながら、ざざっと後ずさっちゃった。
宇佐美さんと、日向さん?
どちらも、うちの社員で知らない人間はいないって有名人だ。
この2人が揃って目の前に、とか、一体なんの冗談? え、夢? ドッキリ?
アワアワと狼狽えながら何度瞬きしてみても、やっぱり彼らは消えない。
夢じゃ、ないの?
「その反応は、僕たちのこともう知ってるってことで、いいのかな?」
近づいてきた宇佐美さんが、唇におっとりと上品な微笑を浮かべ、かすかに首を傾げた。