イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

固唾をのんで続きを待つわたしの前で、薄茶色の瞳がキラリと煌いた。

「坂田を見るなり、男の一人が顔面蒼白になってガタガタ震えだして、んで、直角に頭下げたんだよ、『申し訳ありませんでした!』ってね。あいつがまだ一言も言う前に」

「え、えぇええ?」

まさかぁ、と声を上げてしまってから、ハッと思い出した。
流さんが言ってたっけ。
坂田くんは昔、ヤンチャだったって。

――もう地元じゃ知らない奴はいない……っと、これはナイショだった。


「ま、まさか本当に坂田くんが……反社?」

恐る恐る尋ねると、宇佐美さんが安心させるようにその眼差しを緩めた。

「あいつが、とは考えてないよ。ただ、そういう知り合いがいてもおかしくはない、とは思うんだ。今もまだ付き合いが続いてるかどうかは、別にしてね」

そうか。
昔の友達が、そういう世界に足を踏み入れてた、のかもしれないってこと。

なるほど、それなら坂田くん自身は何も悪くないよね?

「もしかしたら犯人は、どこかから坂田の過去の交友関係をかぎつけて、それをネタにあいつを脅してるのかもしれないな」

日向さんの言葉に頷きながら、得体のしれない犯人にまた怒りを募らせるわたしだった。

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