イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

焦るわたしをよそに、河合さんは勝手に話し続ける。

「結婚を急ぐつもりはありません。もちろん、自分としてはすぐにでもって思ってますが、あなたの意見を尊重します。2人で話し合って決めていきましょう」

ちょっと待って、けけけ結婚っ?

「子どもは2人以上欲しいですし、そうなると女性には出産のリミットがありますから、早い方がいいとは思いますけどね」

いやいやいや、待て待て待て。
急ぎすぎでしょ!?

オロオロ頭の中で叫ぶ一方、どこかで皮肉気な声が響く。
それが望みだったんじゃないの、と――

確かにそうだ。
子どもは2人以上、1人目は20代で……

わたしの、理想のプラン通りだ。
その通り、なんだけど……

やっぱり心は動かない。
違和感しか感じない。
この人と一緒にいて、笑ってる自分を想像できない。

それはもう、致命的なんじゃないだろうか――


「すみません、河合さん。わたし、最近いろいろあって……恋愛とか結婚とか、考える余裕がないんです。申し訳ないんですけど」

ごめんなさい、と繰り返すと、セットされた黒髪をなでていた河合さんの顔が曇った。

「……やっぱりあの彼のことが、忘れられませんか。あんなエリートなイケメンですもんね、僕なんかと全然違う」

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