イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

ガッと音が聞こえるような勢いで、覆いかぶさっていた身体がわたしから離れて行った。
とっさに、パチッと瞼を上げると。

「え……」

パチパチ、目を瞬く。
だって、そこにいたのは――


「さかた、くん……?」


肩を上下させ荒い息を整えながら、こっちを……宇佐美さんを睨んでる。

な、なんか、めちゃくちゃ怒ってない?

今にも飛びかかりそうな危うい雰囲気が、周囲にも伝わったらしい。
取り囲む女の子たちが、怯えたように後ずさっていく。


「そんなコワイ顔するなって。いい男が台無しだよ?」

すっと細くなった奥二重の瞳へ、揶揄うような笑いが滲んでいる。

「何キレてるんだよ。彼女とはもう終わったんだろう? だったら僕が手を出そうと何しようと、お前には関係ないはずだ」

「そうだろう?」と言うなり隣から腕が伸び、そのまま強い力で有無を言わさず肩を抱き寄せられてしまい……ひぃっと喉の奥から声が漏れた。

え、え、ちょっと待って。
宇佐美さん、何してるの?
この腕は、この距離は、なんですか?
まつ毛の埃はどうなったんですか、え、まさか嘘? って、もうパニックだ。

< 392 / 539 >

この作品をシェア

pagetop