イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「ってめっ……」


乱暴な言葉と共に、何かを堪えるように小刻みに揺れる拳が目に入って。
意味もわからないまま、なにかがゾクリと背筋を駆けあがっていく。

「離れろ、彼女から。今すぐ」

「嫌だ、断る――って言ったら?」

抑えた声音とは裏腹に、なぜかバチバチって火花が散るような音が聞こえるようで……。

混雑する朝のグランドフロアが、一瞬水を打ったように静まり返った。


――えー、あれって営業の坂田さんと、人事の宇佐美さんでしょ?
――どういうこと? もしかして三角関係とか?
――うっそぉ、じゃ、彼女を、ってこと?
――あの女、誰よ? どこの部署?

次第にささやきがそこかしこで沸き。
好奇に満ちた視線が、わたしたちに注がれてるのがわかる。

いやいや、待って。
何がどうして、こんなことに?

「あっあの、もう行きませんか? 遅刻しちゃいそうだし……」

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