イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
外に出ると、すでに繁華街の賑わいは遠ざかってて……
ここから先は、わたしも行ったことがない。
迷うことなく夜道を進むその黒い後ろ姿を視界に入れつつ、一気に周囲から人の気配がなくなっていることに心細さを覚える。
彼が振り向いたが最後、一発で見つかるだろうって危うさだ。
こういう時の尾行はどうすればいいんだろうか。
こんなど素人に、そんなことがわかるわけはない。
ハラハラしながら、一応看板や車の影に隠れるように気を付けながら、距離を開けてついていく。
やがて、雑居ビルが連なる細い道沿いにスナックやバーが現れ、通行人や酔っ払いも再び目につくようになり、なんとなく強張っていた体が元気を取り戻す。
個性的な店構えの小さな店舗群は、ゴージャスな六本木や銀座の夜とも、地元のレトロな商店街とも、ちょっと違う雰囲気だ。
サラリーマンっぽい人はあまりいなくて、なんだかやたら外国人が多い。
お店の外のテーブルセットでお酒を飲み交わしたりして。
なんか楽しそう。
こんなところがあったんだな。
知らなかった。
でも2月だよ? 寒くないのかな、お店に入ればいいのに……と視線を隣の店に移して、視界に飛び込んできたポスターに悲鳴を上げそうになっちゃった。