イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
夜の新宿はまだ結構な人が歩いていて、隠れる立て看板にも事欠かない。
だから割と簡単に、目立たず尾行することができ……、と考えて、一瞬ヒヤリとした。
まさかわたしに気づいてて、“わざと”放置してるとか、ないよね?
だって彼、まだ1杯目をようやく飲み終わるかどうか、って頃で。
わたしと目が合って、その後急に席を立った。
今だって、やけにスピードが遅いような……
イヤな想像に、プルプル首を振る。
大丈夫。
全然周囲を気にしてる様子はないもの。
気づかれてるはずはない。
第一、彼はわたしのことなんか知らないし。
それに周りに人だってたくさんいる。
何かあったら、思いっきり叫んでやればいい。
自分に言い聞かせると、彼を追って地下道へと降りて行く。
一体どこへ向かっているんだろう?
帰宅途中のサラリーマンの流れに逆らうように、新宿駅とは逆方向へ進んでいることに気づき、首を傾げてしまった。
案内板で、伊勢丹を通り過ぎたことを確認。
新宿3丁目の駅が見えてきて、そこから都営線に乗るのかと思いきや、彼は地上に戻るようだ。