イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
頬を、汗ばんだ手にズルリと撫でられて。
彼が興奮してるらしいことを感じ取って、吐きそうになった。
さすがにわたしでも、彼が欲しいものの予想はつく。
でも、なんで? どうして……
「……どうしてわたし、なんですか?」
「最初から気に入ってたんだよね。どこまでも普通で、平凡で従順で――」
お尻をずらして必死に遠ざかろうとするんだけど……身体が固まって……
……ダメだ、全然いうことを聞いてくれない!
「だから、わざわざこっちから出向いてやったのに、君は忘れてるし。名刺を渡してやったのに、ちっとも連絡を寄越さないし。あんな屈辱は初めてだった!」
急に語気が強くなった。
その、ブラックホールのような底知れない闇を感じさせる眼差しに、冷たい汗が浮かぶ。
「待ちきれなくなって会いに来てみれば、男ができてるじゃないか。愕然としたよ! もちろん許せることじゃない。さっそく行動を開始した」
「……坂田くんに、嫌がらせを始めたのね?」
「調べてすぐわかったからね。あいつは君にふさわしくないって」
つまり坂田くんが受けた被害は、全部わたしのせい……?
青ざめるわたしを見下ろし、くすくすと、薄い唇が歪んだ。
「案の定こっちが何をしても、あの男は警察に相談すらしなかった。つまりあいつ自身で認めたってことだ。後ろ暗い過去があるってね! だからこの写真も、でっちあげじゃない。事実そのものなんだよ! 君は僕に感謝してもいいくらいだ、こんな重要なことを君は見逃していたんだからね」