イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「大手広告代理店のエリート営業マン、反社と関係か――大騒ぎになるだろうね?」
「なにそれ……お願い、やめて! そんなことしないでっ」
リーズメディカルの仕事は、ようやくプレゼン通過したばかり。
これから彼が中心になってプロジェクトが始まって、きっと彼はもっと成長できる。
そんな、なにもかもこれからって時に、あんな写真が出たら……
ダメだ。
絶対絶対、ダメ。
壊れた人形みたいにガクガク首を振って、「お願いしますっ、お願い」と河合さんのスーツにしがみつく。
「欲しいならあげようか、写真のデータ」
あっさりと返ってきた言葉に、一瞬ぽかんとして……
逆に不信感が沸く。
「……くれる、の?」
「いいよ。僕だって鬼じゃないから。もちろん、タダで、というわけにはいかないけどね。交渉次第、ってところかな」
「い、いくら……払えばいいんですか?」
相手の口元に浮かんだのは、嗜虐的な微笑で。
わたしは無意識に、冷たく感覚のなくなった指を彼のスーツから放していた。
「金なんていらないよ。欲しいのは――わかるよね?」