イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
そうか……去年のイブ、用事があるって言ってたのはそういうことかと、全部が腑に落ちて、深く頷いてしまった。
「この前は特に、いつも以上にひどかったよね」
「そうだな。まぁ理由はアレだろうけど」
そう言って、視線を交わす2人。
何か思い当たることがあるらしい。
「あの……どういうことか聞いてもいい?」
家族の事情にどこまで踏み込んでいいのか、迷いながらも口にすると、「構わない」と坂田くんは微笑んでくれた。
「去年の秋ごろからかな。お袋さ、眩暈がするとか吐き気がするとか言い出したんだ。医者に行ったら精密検査が必要だって言われて」
精密検査っ?
「そそそ、それで、検査の結果は?」
息を詰めるようにして身を乗り出すと。
「受けてない」
苦し気な返事が返ってきた。
「へ?」
「絶対受けないって、言い張ってるんだ」
「どどど、どうして? あ、もしかしてお金のこと気にしてるとか?」
難しい病気だったら、きっと治療も高額なんだろうし……
と思ったんだけど、坂田くんはきっぱりと首を振った。
「オレたちもそれは考えた。だから言ったんだ、金のことならオレがなんとでもするからとにかく検査だけ早く受けろって。なのに、断固拒否しやがって。この石頭の頑固者――」
「ひどい言われようねえ」