イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
顔色はまだ青いながらも、いつの間にか澄んだ瞳がパチッと開いていた。
「しのぶさんっ」
「お袋!」
「母さん!」
枕元へと集まった3人を笑い交じりの眼差しがなぞる様に動き、わたしのところで止まった。
「ごめんなさいね、美弥子ちゃん。せっかくの初対面がこんな形になってしまって。おもてなしもできなくて」
「いえ、そんなこと気にしないでくださいっ……ご気分はいかがですか?」
「うん、もう全然平気。ぐっすり寝て、すっきりしたわ」
ニコニコ笑って、そのまま起き上がろうとする。
「ちょっ……まだ寝てた方がっ!」
「ううん。明日は朝から予約が入ってるし、店を開けないと。もう帰るわ」
言ったそばから、ふっと力が抜けて崩れそうになるからびっくりした。
とっさに3人で飛びついて支えて。
慎重にベッドのヘッドボードに背中を預けるような姿勢で座らせた。
「やぁねえ、ちょっと目が回っただけ。そんな大騒ぎすることじゃないわよ」
「大げさねえ」ってしのぶさんは笑うけど。
唇の色だって、よくない気がするし……
やっぱりちょっと、どこか悪いんじゃないかな。