イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

いくつものシャンデリアで華やかに照らされた会場内。
所狭しとカラフルな料理が並ぶテーブルや、スタッフが目の前で調理してくれるブースが点在して、大勢の人でにぎわってる。

でも、悠長にそれらを眺めてる余裕はない。
だってわたしたちが中に入るなり――

ざわっ……


こっちを見た人たちからざわめきが起こって、さざ波のようにそれが周囲へと伝播していくんだもん。

みんながうっとり見つめているのは、もちろんわたしの両側の2人、なわけだけど……うぅ、一緒にいるのがわたしですみません……。

はたから見たら、両手に花でウハウハ、って感じだろうけど。
なんであんな女が? って突き刺さってくる視線が痛くて、もう緊張感しかない。

「あああの、ちょっと離れてもらってもいいですか……?」
「ん? どうして?」
「注目されるからですよっ」

ハラハラしながら周囲を見渡し――「ひぃっ」と慄いた。
人垣の中に、こっちをジロリと睨む坂田くんが見えたから。
な、なんか、怒ってない?

「あんな目で見るくらいなら、最初からあんたのこと、鎖につないで傍に置いとけばいいのにな」
「く、鎖って……なんのプレイですか」

「ヤキモチ焼きの王子で、お姫様も大変だなぁ。あんなにあいつが余裕ないってことは、もしかして2人、まだ清いままなの?」
「うっ宇佐美さんっ! 何言ってるんですかっ!」

ドッカンと発火した頬を両手でギュッと押さえた。

「へぇえ、図星なんだ」
「可愛すぎて手が出せない、って感じか?」

「うぅう……」
両側から揶揄われて、もう顔があげられなかった。

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