イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「さ、坂田くん……?」
しばらくして、恐る恐る声をかけてみたら。
ようやく笑いが止まったらしい彼が、滲んだ涙をぬぐいながらこちらへ視線を寄越した。
「安心しろ。女子相手に、んな物騒なことするわけないだろ。リベンジは、ええと……なんつーか、仕切り直しって意味で使っただけ」
し……仕切り直し?
え、復讐じゃないの?
「あ……ごめんなさい、わたしてっきり……」
なんだ、やだ、早とちり?
何やってんの、と赤くなったに違いない顔を伏せながら、ふと考える。
あの状況を仕切り直したい、ってどういう……――
彼の革靴がコツンと歩を進めてきて、思考を遮った。
わたしの顎に絡まる様に触れたのは、彼の指。
戸惑っていると、そのまま少し強引に、顔が持ち上げられてしまう。
「あの時も、真っ赤になったな」
しっとり潤んだ双眸にひたと見つめられ、一瞬心臓が止まるかと思った。
“あの時”。
それがキスされた時だと気づいて、今があの時と同じ距離だと気づいて……そのせいだろうか。
さっきとはまるで違ったリズムで、鼓動が走り出していく。
「理性効かなくてキスしちまったのは、自分でも想定外だったけど。あれでわかった」
「なな、何が……?」
「オレたち、絶対相性いいって――カラダの」