イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
……は!?
か、か、からだっ……?
「そういうのって、キスしただけでなんとなくわかるだろ?」
い、いやいや、無理だよ。わかるわけないじゃない!
ていうか、あなたがわからないよっ!
わたしにそんな上級テクを求めないで!
唖然とするわたしに気づいているのかいないのか、坂田くんは意に介することなく言葉を続ける。
「中村のこと、欲しいと思った」
「ほ、ほしいって……」
顎を捉えていた指が、頬から耳たぶへ、焦らすように移る。
ゆったり、官能的な仕草でまさぐられて。
ゾクリと全身へ、訳の分からない衝動が走った。
「わかりやすく言おうか。抱きたいってこと。お前を全部、オレのものにしてみたい」
「なっ……何、めちゃくちゃなっ……」
吹き込まれる甘やかな声が、瞬く間にリアルな映像のナレーションになるようで――頬に熱が集まっていくのが分かった。
「お前だって、オレのことまんざらでもないよな? だから誘ったんだろ?」
ささ、誘う?
そういえば彼、あの夜のこと、まだ誤解したままなんだ!
はたと思い出して、まずいまずい絶対まずいと、言葉だけが脳内を埋め尽くす。
もしかしてわたし、ものすごくチョロい女だって思われてるんじゃ?