イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

我が家は、共働き家庭だった。
両親とも管理職で、お金はあったけど、忙しくて。

夕食は、わたしが一人、冷凍食品を温めて食べるだけ。
お父さんもお母さんも外で別々に済ませてしまい、帰りは深夜だった。

当然、団らんの記憶なんてほとんどない。

だから、昔から決めてた。
早く結婚して、あったかい家庭を作るんだって。
自分の子どもには、決してあんな寂しい思いはさせるもんかって。

そう。
わたしは、タワマン暮らしのスパダリなんて興味ない。

窓際族でもいい。
閑職でもいい。
出世なんかしなくていいから――……


「婚活、がんばろ」


自分に言い聞かせるようにつぶやいた、その時だった。



「中村さん?」



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