青の世界のあなたと、記憶をなくした私との365日の恋物語
碧と手を繋ぎ、中川夫妻との待ち合わせ場所に向かうと、俺達の
姿を見つけた中川が手を振っているのが見えた。

「碧ちゃん、退院おめでとう。
 俺の奥さんの(タマキ)、これから一緒に買い物するから
 よろしくね!」

「初めまして、碧ちゃん。
 今日は、私と一緒に買い物しましょうね。」

「はい、よろしくお願いします。」

碧は初めて会う環さんに緊張しながらも、挨拶していた。

大柄な中川に比べ、小柄で可愛らしい雰囲気の環さんだが、元看護師
だけあって、さり気なく碧を気遣いながらも、テキパキと買い物を
進めていく。

男は入れない下着の店も、碧の手を引いて行ってしまった。

俺達男は、近くのベンチで待つことにした。

「今日は、ありがとう。助かった。」

「いいって、滅多にない蒼からの頼みだし、俺も碧ちゃんの事が心配
 だったから、丁度良かったよ。
 碧ちゃんの事は、良かったのか?」

「あ~、どうせ俺も一人だし、きっとこれも何かの縁なんだろうし
 何かほっとけないんだよな。」

遠目に碧と環さんの姿を見ながら俺がそう応えると、中川が一言

「お前、変わったな。」と呟いた。

「そうか?」

「ああ、碧ちゃんに会って、良い意味で変わってきてる気がする。」

「そうか・・・」


俺と中川の会話は、楽しそうに買い物袋を下げて戻った二人に気がつ
くと、そこで途切れた。



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