宇佐美くんの口封じ
彼の──宇佐美くんの、冷たい声が零れる。
私と目が合った彼は、それ以上何も言わず背を向けた。
咄嗟に私は立ち上がり、遠のいていく彼の背中を追いかける。
「っ宇佐美くん!」
掠れた声で彼を呼び止める。私の声に、宇佐美くんは足を止める。
「…やっぱ今日、いいです」
「で、でもっ」
「つか、本気にしないでくださいね」
「…え?」
宇佐美くんの、聞いたことのない冷たい声が離れない。
彼はハッと嘲笑するように息を吐くと、首だけ振り向いて、
そして、言ったんだ。
「せんぱいのことなんて、最初からずっと遊びだったんで」