それからの日々

そろそろ夕飯の支度に取りかからねばならないみどりは、子どもたちに尋ねる。

『なぁ、晩ごはん、なにがええ?』

『んーとっ……ハンバーグとケチャップライスっ!』

兄と姉に遊んでもらおうと、二人の腕を引っ張りながら、下の娘が叫ぶ。

(しおり)、あんたの好物ばっかし言うとうやん』

呆れたように上の娘が言う。

『おれは、なんでもええで。栞が食べたいと思っとうもんやったら』

息子が下の娘を抱き上げて言う。

『よかったなぁ……智くんはええって言いようで。栞には甘いもんなぁ』

上の娘が手を伸ばして、下の娘のぷくぷくのほっぺたをつんつん、と突っついた。

『わかった……ほな、ハンバーグとケチャップライスにするわ』

みどりは冷蔵庫の中にあるものを頭に思い浮かべる。もし足りないものがあれば、ダイエー(買い物)に行かなくてはならない。

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