終わり良ければ全て良し、けど過程も大事



「なんか…過保護ですね」

「え?」

「お父さんみたい」


そう言うとまた炊飯器に意識が向く。


さっき触れた髪がまたはらりと落ちた。



俺の視界から結の横顔を塞ぐ髪をすり抜け、首に触れる。

「お父さんはこんなことしないよ」



そのまま首筋に食らいついた。

結の体が瞬時に反応し、身を引く。

けど、それを阻止するように俺の腕が早く結の腰を引き寄せた。


歯を立てないように首筋に吸い付くと耳元で甘い声が微かに漏れ聞こえる。

「や…やだ…っ!」


甘い声はすぐに拒絶に変わり、抜け出そうともがく結をきつく抱きしめる。


「…そろそろ仕事行ってくる」

わざと耳元で囁くとまたビクッと体を震わす。


「帰ってきたら続き、しよっか」


今度は軽いキスを首筋に落とし腕の力を緩めた。

と、同時にものすごい勢いで結が後ずさる。



目に入った結の顔は、照れとか不慣れとか、そういう類の表情じゃなかった。


明らかな嫌悪。


俺が触れた首筋に手を当て顔を思いっきりしかめている。


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