終わり良ければ全て良し、けど過程も大事


無言で結を抱えて寝室に向かった。


少し驚いた声をあげてはいたけど大人しくされるがままベッドに下ろされる結。


覆い被さり見つめると、少し結の瞳が揺らいだ気がした。

顔には出なくても多少は緊張するみたいで安心した。


「ちょっとお願いなんだけど」


結の薄い唇に触れる。


「気をつけるけど、やっぱセックスの時キスしないの難しくてさ…忘れてしそうになったらちゃんと止めてね」


さっきもついしそうだったしマジで自信がない。

今もキスしないでどう始めたらいいか少し悩む。



ふっ、と結が笑った。

「え」


「あ…すみません…あの、てっきり忘れてついしちゃうかもって言い訳を言うのかと思って」


なんか、やっぱ俺嫌われてるよね。


「しないよ。嫌なんでしょ?」


間髪いれず「はい」と返事が返ってくる。


「あと何が嫌?ダメっていうか、苦手というか。耳とか首は?」

「…それはもう大丈夫です」

「さっきあんなに泣いてたのに?」

「大丈夫です」


すごい頑固。


気が強いとはちょっと違う…強がるとこある。


たぶんこれ以上突っ込んでも言い合いになるだけだと判断してそこで止めた。

そんな雰囲気じゃないし。


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