傘を差して雨宿り
『それが、倒そうとする前に、パタッとそのゴキブリ、死んでしまったんです。
 ホイホイもまだ置いてないのにっ。
 
 なんでだと思います?』
と送ると、すぐに、

『知るか』
と入ってきた。

 明確な答えだな。

 いやいや、怖いと思いませんか?
 なんでゴキブリ死んだんでしょう?

 無敵のゴキブリ様を死に至らしめるなにか恐ろしいものが家の中に居る気がするのですが……。

『他の話はないのか』
とまた蒼羽から入ってくる。

『じゃあ、怖い話なんですけど』

『今、怖い話はよせ』
と薄曇りの空を見て、蒼羽が送ってきたときにはもう送っていた。

『うちの近くの交差点の中央に夜12時過ぎると、ご老人が立ってるんですよ』

 蒼羽が恨みがましい目でこちらを見てくる。

 ……嫌いなのだろうか、怖い話が。
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