傘を差して雨宿り
 自分で決めたことなのに、しゃべれるようになってホッとしながら莉帆は言った。

「でも、普通LINEしてるときの相手の顔ってわからないのに。
 見られて面白かったです」

 そう言った莉帆は視界が明るくなっていることに気づく。

 まだうっすら雲は残ってはいるが、もう雨は落ちていない。

「あ、晴れましたね」

 傘を爆破せずに済んで莉帆は笑った。

「晴れたじゃないか……」

 ちょっと不満げに呟く蒼羽に、
「晴れちゃいけないんですか?」
と莉帆が訊くと蒼羽は沈黙する。

「じゃあ、満島さん、ありがとうございました」
と、なにがありがとうなんだかわからないが、なんとなくそう言い、莉帆は歩き出した。
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